増税で気になる仕事への影響
2019年10月1日より、食品等の一部の商品を除き消費税が10%に引き上げられました。
「消費税」という、家庭にとって直接打撃を与える税金の引き上げに誰しもが痛手を感じています。
そしてその打撃は家庭だけでなく勢いそのままに「職場」へも振りかざされることになるのです。
家庭への影響はよくご存知だとしても、「増税」が「職場」にどのような影響を与えるのか、ご存知でない方もいるのではないでしょうか?
「商品」を直接取り扱う業種はもちろんのこと、増税は以下の観点で我々の仕事に大きな影響を与える政策になります。
商品の販売価格の上昇
商品の販売を執り行う業種において、ダイレクトに影響する「商品価格の上昇」は、業績に対して非常に大きな影響を与えるでしょう。
「売上」という観点から見ると家電や家具など確実に販売額が増加してしまう商品を扱う場合は影響が大きいと言えます。
仕入れ値が上がる
商品の販売を執り行う企業だけでなく、一般企業にも影響が及ぶことが予想されます。なぜなら、消費税増税は仕入れにも大きな影響を与えるからです。
企業によっては休憩室にお菓子を常備している場合もあるかと思います。会議を開けば飲み物を用意する必要がある中で、それらの税率は「8%でしょうか?」「10%でしょうか?」
食品には「軽減税率」の対象になるものとそうでないものがあります。またデスクでは消耗した文房具を買い足す機会も頻繁に起こることから、やはり備品購入の際には混乱が予想されます。
増税の影響が大きい業種はどこ?
消費税増税で混乱する企業がほとんどであっても、「特に大きな影響」を受けるのはどのような業種で勤めている人たちなのでしょうか?
考えられる影響としては「仕入れ値の増大」「商品価格の増大」「軽減税率が適用されるものと、そうでないものを扱う」などが予想されることから、主にその3点に注目して業界への影響を考えてみましょう。
小売業界
「仕入れ値の増大」「商品価格の増大」「軽減税率が適用されるものと、そうでないものを扱う必要性」この3点の影響を全て受けるのが小売業界になります。
靴やカバン、時計、家具、家電などの専門店では「商品価格の増大」「仕入れ値の増大」の影響を受け、スーパーやコンビニなどの食品から生活用品まで扱うお店では「仕入れ値の増大」「商品価格の増大」「軽減税率が適用されるものと、そうでないものを扱う必要性」の全ての面で影響を受けることになります。
スーパーやコンビニは「軽減税率」において医療品・酒類をはじめとした専門の知識が必要なものから、「おまけ付きお菓子」という線引きの難しいものまで扱うことになります。
「軽減税率」は新たな試みであることから、売り手側だけでなく消費者側にも強い理解を求める必要があるので、現場の混乱は想像するまでもありません。
農林水産業界
農林水産業界では「軽減税率が適用されるものと、そうでないものを扱う必要性」の影響が最も強くみられます。
動物や植物を扱うこの業界では「人が食べるものであるかどうか」という基準で税率適応の区分が厳しく分けられることになります。
魚や豚、牛を販売する場合「人の食用」なら「8%」、「家畜やその餌用」に販売するなら「10%」の税率が適用になります。
しかし、このルールは見た目以上に複雑なもので「人の食用として販売されているが、これを購入して家畜の餌として与える」といった場合には「食品」という区分に分けられるので、8%の税率が適用になります。
ただでさえ人手不足など深刻な問題を抱える農林水産業に置いて、今回の政策は頭を悩ませるタネが増える結果となることでしょう。
製造業
印刷・製紙や家具、建築などの製造業は概ね10%の税率が適用されるとして「食品製造」の現場ではそのように単純には済ませられないようです。
製造の主たる「食品」においては概ね8%の税率で計算すれば良いですが、製造の際に発生する「梱包材」には10%を適用させなければいけません。
また「食品添加物」においても工業用なのか食用なのかで税率が変わるため、非常に判断が難しい業界になります。
影響が大きいのは食品を扱う業界
やはり影響の大きい業界は「軽減税率」が適用されるものと、そうでないものが分かれる「食品」の分野でした。特に農林水産業はで上記のような煩雑さが現れると、国民の生活に強く影響することが懸念されます。
今以上に親切なガイドラインが求められることになるでしょう。
増税による資金繰り悪化
2019年10月1日より増税となりますが、9/30までの受注に関しては原則として消費税8%の扱いとなります。
つまり事業者目線でみると「9月分売上は消費税8%で10/31に入金されるが、仕入れは10/1〜消費税10%で対応しなければならない」という状況が生じています。
この間は8%の消費税しか入ってこないのに、10%の消費税で仕入れを行わなくてはならず資金繰りとしては非常に厳しいのです。
特に卸売や飲食業など利幅が薄い業種では差分2%が重く伸し掛かります。
売掛金売却によるキャッシュフロー改善
消費税増税のように一時的、かつ解決の目処が立っている状態であれば、売掛金(請求書)を売却して支払日を待たずに現金を手に入れるという方法も有効です。
いわゆる「ファクタリング」というサービスです。(ファクタリングについて詳しくは「5分で理解するファクタリング活用術」を参照ください)
ファクタリングは融資に比べて割高な調達コストである反面、債権の売買行為なため審査という概念はなくスピーディーな取引が可能です。
買取に掛かる手数料は増税差分の2%を超えるため、できれば利用せずに耐えたいところですが、どうしてもキャッシュが足りない!という状況でしたらファクタリングも視野にいれて対策を練ってみてはいかがでしょうか。